令和3年度 第 1 次試験問題 経済学・経済政策 第二十三問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

最後の問題は輸入の自由化による市場の変化です。

まず、現在の状況を整理ましょう。以下のようになっていて、生産者余剰と消費者余剰はどうなるでしょう? 

消費者余剰は、以下の、赤三角(5)で、生産者余剰は青三角(1)+(2)ですね。

 

輸入が自由化されると、関税が撤廃されて、安い海外の商品が入ってきて、商品の価格が強制的に国際価格に遷移します。

下記グラフにおいて、均衡していたP0からP1へ移行していきます。

P1に価格が落ちるということは、まず需要が高まり、需要はN1まで高まります。しかし、国内の生産者の供給曲線から、その価格でできるのはN2までになります。

この場合の消費者余剰と生産者余剰を考えてみましょう。

消費者余剰は、赤三角(2)+(3)+(4)+(5)となります。

生産者余剰は、青三角(1)となります。


では問題を見ていきましょう。

 

1.自由貿易協定によって、消費者余剰は⑶と⑷の分だけ増加する。

違います。(2)(3)(4)(5)ですので、(2)(3)(4)が増加分です。

誤りです。

2.自由貿易協定によって、生産者余剰は⑴よりも大きくなり、消費者余剰は⑸
よりも大きくなる。

違います。生産者余剰は(1)になります。

誤りです。

3.自由貿易協定による、生産者から消費者への再分配効果は⑴と⑵である。

再分配効果は、生産者余剰の消費者余剰への移行のことです。

これは(2)だけですね。(1)は違います。誤りです。

4.自由貿易協定による生産者余剰の減少分は⑵である。

その通りです。これが正しいです。

5.自由貿易協定による総余剰の増加分は、⑵、⑶を加えたものである。

総余剰を考えると、増加分は(3)(4)です。

以上より正解は4です。