令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第十六問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

特許権及び著作権の共有に関してですね。一度、話としては出てきていましたね。

まず問題を見ましょう。特許権と著作権の文章が並んでいますね。そして、他の共有者の同意の要否についての問題らしいです。 先に、差分について触れておきましょう。

 

まず、特許権と著作権の性質上、手続きとして特許権には出願する必要があり、著作権は作品ができれば自動的に発生しますので、出願の必要はありませんね。そして、特許権を共有する場合、出願する際、共有する者が共同でする必要があります。つまり、同意が得られたからと言って単独での出願はできません。

一番注意が必要なのが、権利の行使(実施)についてです。まず特許権については共有している特許権については、他の人の同意は特に必要ありません。その特許権を使った商品を作ったり、売ったりすることができるわけです。しかし、著作権については、同意が必要になります。まあ、これは何となく想像つきますね。小説を共同で書いて、片方が勝手にバンバン売ってるけど、もう一人は出遅れたりしたら不利益を被るかもしれませんし。譲渡する場合については、これは特許権も著作権も、どちらも同意が必要となります。

特許権を他社に割り付ける場合や、専用実施権を設定する場合には、特許権ではほかの人の合意が必要となります。これを専用実施権の設定、通常実施権の許諾と言いますが、これは特許権のみの話です。これには、共有する人たちの同意が必要となります。

 

さて、ここまでで問題を読んでいきましょう。

 

1.特許権: 各共有者は、他の共有者の同意を得ないで、その持分を譲渡することができる。
著作権: 各共有者は、他の共有者の同意を得ないで、その持分を譲渡すること
ができる。

譲渡についてはどちらも同意が必要でしたね。誤りです

2.特許権: 各共有者は、他の共有者の同意を得ないで、自らその特許発明の実施をすることができる。
著作権: 各共有者は、その共有者全員の合意によらないで、自ら複製等の著作権の利用をすることができる。

実施についてですね。特許権については、同意を得ないで実施が可能というのは、合っていましたね。しかし、著作権については、複製(権利の行使)をするには、合意が必要でした。つまり、これは誤りです。

3.特許権: 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について、他人に通常実施権を許諾することができない。
著作権: 各共有者は、その共有者全員の合意によらなければ、他人に複製等の著作権の利用を許諾することができない。

通常実施権の許諾についてです。その通りですね。同意がなければ通常実施権を許諾することはできません。

そして著作権については、複製等の権利の実施については、共有者の合意が必要でした。これも合っています。

よって、これが正解です。

4.特許権: 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、自らその特許発明の実施をすることができない。
著作権: 各共有者は、その共有者全員の合意によらなければ、自ら複製等の著作権の利用をすることができない。

特許権についての実施は、他の共有者の同意は必要ありませんでしたね。よって誤りです。これは誤りです。

著作権については、権利の利用には合意が必要でした。この部分は合っています。

 

以上より、正解は3となります。