令和4年度 第 1 次試験問題 経営法務 第十問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

次は著作権法に関する問題です。特許と似た話で、混乱しそうですが、頻出ですので、しっかり覚えていきましょう。

産業財産権をこれまで学習してきましたが、それに双璧をなすのが著作権です。これは、ある作品を作成したものが有する権利のことです。産業財産権と著作権を合わせて、知的財産権と呼びます。

著作権にも以下のような種類があります。

著作財産権

著作物を活用して収益や名声などを得ることができる財産的権利(著作財産権)です。まあいわゆる著作権と言うと、これを思い浮かべるでしょう。

著作者人格権

著作物の内容と著作者を紐づけることで、著作者の人間性を正確に表現する人格的権利です。作品全てに通して、作者の思い入れやポリシーみたいのがあり、それは一種の人格を形成し、世間におけるイメージとなり得ます。それを傷つけたり、侵害させないようにするための権利です。

著作隣接権

これは直接的な著作者ではないが、著作物について、重要な役割を果たしている者に対する権利です。例えば、実演家、レコード製作者、放送事業者など著作物を伝達する者に付与される権利が、著作隣接権となります。

 

そして次に著作物の種類です。ざっと代表的なものを示しておきます。

言語の著作物 論文、小説、脚本、メール、日記、詩歌、俳句、講演など
音楽の著作物 楽曲及び楽曲を伴う歌詞
舞踊、無言劇の著作物 日本舞踊、バレエ、ダンスやパントマイムの振り付け
美術の著作物 絵画、版画、壁画、彫刻、マンガ、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)、生け花、雪像、氷像など
建築の著作物 芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)
図形の著作物 地図と学術的な図面、図表、人体模型、地球儀など
映画の著作物 劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなど
写真の著作物 写真、グラビア写真など
プログラムの著作物 プログラム

たくさんありますね。コツは、当たり前で想像がつくのは覚える必要なく、ちょっと異質なものは記憶にとどめておくようにしましょう。 

さて、著作権の体系が分かったところで、問題を見ていきましょう。

 

1.「講演」は「言語の著作物」には該当せず、著作物として著作権法に規定されていない。

表にありますね。講演は言語の著作物に該当します。誤りです。

 

2.「地図」は、著作物として著作権法に規定されていない。

地図は、図形の著作物に含まれます。誤りです。

 

3.「美術の著作物」は「美術工芸品」を含むことは、著作権法に規定されていない。

美術工芸品も含みます。よって誤りです。

 

4.「無言劇」は、著作物として著作権法に規定されている。

はい。されています。これが正解です。

 

以上より4が正解です。