令和4年度 第1次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント) 第三十六問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

物流センターの運営に関する記述として、最も適切なものはどれか。

 

さて、引き続き物流センターについてで、運営についてになります。

今回は、問題文から見ていきましょう。

 

1. 3PL は、荷主が物流事業者に代わって物流センターを運営することである。

3PL(サードパーティロジスティクス)について、まずは用語を確認しましょう。

サード・パーティー・ロジスティクス 

サード・パーティー・ロジスティクス (英語:third-party logistics, 3PL) とは、コアコンピタンスに集約した経営を指向する企業が、企業戦略として、物流機能の全体もしくは一部を、第三の企業[注釈 1]委託することで実現する物流業務形態のひとつ[1]3PLと略称される[注釈 2]。また、物流のオペレーションだけでなく物流戦略の企画から推進までを含んだコンサルティング事業を「4PL」と呼称する[1]

概要(3PLが形成される背景)

荷主企業側から見た場合、生産から販売に至るまでのロジスティクスは企業活動の根幹のひとつであるが、効率的なロジスティクス活動には倉庫貨物自動車ソフトウェア人的資源などのインフラストラクチャーの充実が欠かせない。しかし、これらのインフラの拡充には相応の費用と時間が必要である。そこで、ロジスティクス活動の一部(場合によっては全部)を、物流業務を専門に行う第三の企業に委託し、外部の資源を有効に活用するという選択肢が発生する。また3PL事業者からみた場合、すでに自社の資産として保有するハードウェアやソフトウェアを荷主企業に開放することによって、少ない投資で増益を見込める。このような荷主企業と3PL事業者の利益の一致により、サード・パーティー・ロジスティクスが形成される。

3PL事業者が提唱する3PLの定義

広義では、荷主企業のロジスティクスの全体もしくは一部を、3PL事業者に委託する物流形態の一つと定義される。 狭義では、荷主企業のロジスティクスを物流改革の提案から運営までを包括的に委託し、3PL事業者自身が荷主企業の立場・視点から物流効率化(物流費削減、供給の迅速化、売上の拡大など)を実現する物流形態と定義される。 各3PL事業者の提唱している3PLの定義によると、荷主企業のロジスティクスの一部ではなく、提案から運営までを包括的に引き受ける物流形態を示す傾向が強いことからも、広義よりも狭義での解釈のほうがより3PLの実態に近しい定義といえる。そのため、荷主企業主導のロジスティクスの一部のみを委託する物流業務形態は、狭義では3PLとはいえず、単純なロジスティクスの委託とは一線を画する。

 

「サード・パーティー・ロジスティクス」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年9月17日 (土) 18:18 UTC、
URL: 
サード・パーティー・ロジスティクス - Wikipedia

 

つまり、3PLは物流部門について、第3者に委託することです。外注することによって、時間や手間をかけずに、高度な物流サービスを受けることができます。

よって、荷主が物流部門を担うわけではありません。誤りです。

 

2.ASN は、出荷する商品に誤りがないかを確認する出荷検品に利用される

ASNはAdvanced Ship Notice (Advanced Shipping Notice) の略称となっています。これは事前に納入業者側が、その出荷情報を通知する仕組みのことす。ASNには、「入庫予定日」や「商品コード」、「発注番号」、「入庫数量」などが含まれTC型物流センターなどで、仕入れ処理や、在庫の引当などを行うためには欠かせない情報です。

物流センターの出荷検品に利用されるためのものではありません。よって、誤りです。

 

3.在庫管理の重点を決める手法として、ABC 分析が利用される。

ABC分析は、在庫管理の優先度を決める手段おつぃてよく活用される手法です。正しいです。

 

4.種まき方式ピッキングは、オーダー別に商品を一品ごとに集品する方法である。

ピッキングには、以下の2種類があります。

シングルピッキング(摘み取り方式):

これはオーダーごとに、ひとつひとつピッキングを行うことです。オーダーが少なく、オーダーの商品の種類が少ない場合や、急なオーダーは、こちらの手法で対応するのが良いです。

 

トータルピッキング(種まき方式) :

これはまず先に、商品をまとめてピッキングしてしまい、その後、その後発送ごとに振り分ける方法です。オーダーが多いケース、また、オーダーの商品の種類が多い場合などはこちらになります。

さて、問題文の説明は逆ですね。これは摘み取り方式の方の説明になっています。よって誤りです。

 

5.マテハン機器のうち、パレタイザは保管用の機器であり、AGV(Automatic Guided Vehicle)は仕分用の機器である。

いろいろ、見たことが無い単語が並んでいると感じたかもしれません。マテハン機器、パレタイザ、AGV、それぞれ見ていきましょう。

 

マテハン機器(マテリアルハンドリング機器)

マテリアルハンドリング 

 マテリアルハンドリング英語:Material handling)は、生産拠点や物流拠点内の原材料仕掛品完成品の全ての移動にかかわる物の取り扱いである。手動、半自動、および自動化された幅広い機器を使用し、製造、倉庫保管、流通、消費、廃棄の全体にわたる材料の保護、保管、管理なども含まれる。日本では「マテハン」と略される。

概要

マテリアルハンドリングは、製造業と物流において重要な役割を担っており、物理的な商取引の大半の品目は、製造工場、倉庫、および小売店において、ベルトコンベアまたはフォークリフト、あるいは他のタイプのマテリアルハンドリング装置で運搬が行われている。マテリアルハンドリングは通常、全生産・製造業の仕事の一部門として必須であり、アメリカでは65万人以上の労働者が何かしらの移動系機械オペレーターとして働いており、2012年時点での年間賃金の中央値は31,530ドルであった。これらのオペレーターは、様々な作業現場で材料の移動や車両への積み卸しなど、移動機械を使用して様々な商品の運搬が行われている。

 

「マテリアルハンドリング」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年12月2日 (金) 17:12 UTC、URL: マテリアルハンドリング - Wikipedia

 

パレタイザ

パレットを積載するための装置です。

 

AGV(Automatic Guided Vehicle/無人搬送車)

無人搬送車 

無人搬送車(むじんはんそうしゃ 英語:Automated guided vehicle, AGV)とは、産業用途で多く使用される自動運転車の一種で、人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる搬送車。主に製造工場や自動倉庫などで使用される。

概要

1980年代に開発され、現在では多くの工場や倉庫などで使用されている。

無人搬送車には複数の誘導方式があり、床に埋め込まれた電線からの微弱な誘導電流や、描かれた線を利用する機種がある。それぞれの誘導方式には一長一短があり、用途に応じて適用される

衝突防止のために近接センサ超音波距離計等のセンサによる安全装置を備える。

無人フォークリフトAGF: Automated Guided Forklift)も広義のAGVに含まれる。近年では自律走行搬送ロボットAMR: Autonomous Mobile Robot)や無人地上車両UGV: Unmanned ground vehicle)なども出てきているが、後述の第四世代AGVとの区別が曖昧に使用される場合がある。AGF、AGVは事前にプログラムされたソフトウェアによって制御され、走行するには各種ガイドが必要となるが、AMRは一切のガイドを必要としない自立式のロボットとなる。

日本では2022年2月18日川崎重工業ゼットエムピーTISティアフォー日本郵便パナソニック本田技研工業および楽天グループ8社による一般社団法人「ロボットデリバリー協会」が発足した

 

「無人搬送車」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年10月14日 (金) 14:55 UTC、URL: 無人搬送車 - Wikipedia

 

さて、問題文を見てみると、パレタイザは「保管用の機器であり」とありますが、これは違います。パレットを積載するための機器です。保管のためだけに使うわけではないので、誤りですね。さらに、AGVも「仕分け用の機器」とありますが、自動運転車のことで、人間が運転することなく、倉庫間、倉庫内など決められたルートを自動的に運搬する運搬車です。よって、誤りです。

 

以上より、正解は、3です。