令和4年度 第1次試験問題 運営管理(オペレーション・マネジメント) 第九問 解答と解説

解答

 

4.

 

解説

 

TOC(制約理論)における、ボトルネック工程やドラム、バッファ、ロープに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

 

まず、TOC(制約理論)と言う言葉が気になりますね。Wikiを見てみましょう。Wikiでは、「制約条件の理論」となっています。

制約条件の理論 

制約条件の理論(せいやくじょうけんのりろん、英:Theory of Constraints)もしくは制約理論(せいやくりろん)とは、イスラエル物理学者であるエリヤフ・ゴールドラットが開発したマネジメント理論である。

自然科学で幅広く活用される「原因と結果(因果関係)」というコンセプトを、人が絡む組織の問題に適用し、自然科学における「理論」と同じレベルの再現性のある科学を、社会科学の領域に持ち込んだことが大きな特徴となっている[1][2]。1984年に米国で出版され、世界的なベストセラーとなった著書『ザ・ゴール』で当時の知識体系が公開された。

2001年に『ザ・ゴール』の日本語版が出版された当初、日本では「制約条件の理論」と訳されていたが、現在は国内でこの理論の普及を推進している組織のほとんどが「制約理論」と表記している[3]。原語(Theory of Constraints:直訳すれば「制約の理論」)に「条件(Condition)」という言葉がないため、日本語訳としては「制約理論」の方が本来の意味に沿っている。ただし、この理論を示す用語としては、日本を含めてグローバル規模では原語を略した「TOC」と言った方が通じやすい。

概要

TOCの基盤となる考え方は「つながり」と「ばらつき」のある組織やシステムでは、仕事の流れを滞らせる制約の改善に集中すれば全体最適化が実現できるというものである。より正確に記述すれば、「システムにつながりとばらつきがある」という前提があれば「制約に集中する」ことで、必ず「全体に成果をもたらす」ことが可能になるということを示した科学的な理論だ。ゴールドラットは、自身が編み出した知見を「手法」や「方式」ではなく、「理論」だと位置付けている[1]

『ザ・ゴール』が出版された当初は、制約に対して「ボトルネック」という用語を使っていた。しかし、生産以外の分野への適用が始まると、ボトルネックという言葉が誤解を生じかねないため、「制約」という言葉に置き換えたという[16]

部署間を左から右へと仕事が流れてくる組織をモデル化したシステムを例にとろう。このシステムでは、個々の部署が1日に処理できる能力には、それぞれ20、15、10、12、16とばらつきがある。この例では、制約となっている部署の10以上にアウトプットが出ることは不可能である。この部署の改善だけに集中すれば、組織全体のアウトプットが向上することは明らかだろう[1]

システムの例:Input >> 20 > 15 > 10 > 12 > 16 >> Output

 

アプリケーション特有の TOC ソリューション

操業

製造作業と操業管理においては、ソリューションが探すのは、システムの中に引き込むことよりも、システムから物を引き出すことである。

  • ドラム-バッファ-ロープ(Drum-Buffer-Rope)

"同期生産"(SM)の基本的な原理は出口がひとつしかない講堂の例で説明できる。もし人々が講堂から出るように指示されるとき、人々がドアを通り抜けるペースは、講堂の中の人数によらず同じである。戸口の様子は、人々が出て行ける割合(人数/時間)を決定する。工場が一定数の製品を一定の期間に製造する限界値は与えられた期間に戸口から出て行ける人数に例えられる。工程中の原材料は講堂のなかの人数のようである。

手にすることができる商品の現実が工場生産と単純には相関しないということは最も基本的で重要なSMの基盤のひとつである。

参考として、DBRが要約されている"The Goal"の第37章を参照されたい。

 

「制約条件の理論」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年12月24日 (土) 07:00 UTC、URL: 制約条件の理論 - Wikipedia

 

なかなか難しい。ザ・ゴールを読めば少しは分かるのかな。そんなに高い本ではないので、後で購入してみようか。

 

 

まあ、とはいえ、この問題は、TOCの全貌を分かっている必要は無いでしょう。が、ボトルネック、そしてドラム・バッファ・ロープについては、イメージを持っていないと難しいかもしれません。やや、マイナー問題な気はします。

まあ、ボトルネックは良いでしょう。納期に影響を与える最もクリティカルな工程です。さて、ではドラム・バッファ・ロープについてです。まあ、ボーイスカウトの例などは、他でたくさんやっているので、その辺は割愛します。

 

・ドラム:
生産全体の歩調を刻む役割です。ボトルネックを意識して、他もそれに歩調を合わせます。タイミング合わせですね。

・バッファ:
ボトルネックが遅れていっても、すべてを止める必要が無いように余裕を持たせて、柔軟に対応できるようにします。

・ロープ:
ボトルネックの遅れにより、先行する工程のコントロールをする仕組みです。

 

簡単なイメージを持ったところで、問題文を見ていきましょう。あ、不適切なものを選ぶというところに注意してください。

 

1.ドラムは、一定で安定した生産活動を目指すために、製造プロセスの各工程において、一定のリズムに合わせて生産を進める役割を果たしている。

合っていますね。正しいです。

 

2.バッファとは、設備故障や作業遅延など生産活動における不確実性に対する余裕分を含めたリードタイムのことである。

合っています。正しいです。

 

3.ボトルネック工程とは、工場全体の生産速度に決定的に影響する工程のことである。

合っています。正しいです。

 

4.ロープは、ボトルネック工程の前後に隣り合う 2 つの工程間で生産指示や運搬指示を伝える役割を果たしている。

これは違いますね。これは後ろの工程が遅れていったときに、先頭の工程が、必要以上に先行してしまわないようにコントロールするためのものでしたね。よって、誤りです。これが正解。

 

以上より、4が正解です。