令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第二十八問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

 

ブランドに関してです。分かりやすく、しかも頻度が高い話ですので、しっかり覚えておきましょう。問題を通して、覚えていきます。

 

1.既存ブランドの下で分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張と呼び、流通側から見た場合にはさまざまなメリットがある。しかしメーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀損するリスクがある一方で、メリットは特にない。

 ブランド拡張についてです。まずはWikiを見ていきましょう。

 

ブランド拡張 

ブランド拡張 (brand extension)またはブランドストレッチング (brand stretching)は、確立されたイメージを持つ製品を持つ会社が、異なる製品カテゴリで同じブランド名を使用するマーケティング戦略である。新製品はスピンオフ (spin-off)と呼ばれる。

組織はこの戦略を使用して、ブランドエクイティ(定義:有名な名前からの純資産と長期的な持続可能性)を増やして活用する。ブランド拡張の事例としては、"ジェロ・ゼラチン" が"ジェロ・プディング・ポップ"を発売することである。ブランド名の認知度を高め、複数の製品カテゴリの製品からの収益性を高める戦略である。

新製品の発売には時間がかかるだけでなく、ブランドの認知度を高め、製品のメリットを促進するために多額の予算が必要になるブランド拡張は、親ブランド名を使用して中核ブランドのエクイティによる消費者の認識を高めることにより、財務リスクを軽減できる新製品開発戦略の1つである

ブランド拡張戦略には大きなメリットがあるが、大きなリスクもあり、ブランドイメージが希薄になったり、ひどく棄損したりする可能性もある。 ほとんどの文献は、消費者の評価と親ブランドへのプラスの影響にしか触れていないが、実際には、ブランド拡張は失敗しているケースが成功のケースよりも多い。いくつかの研究では、悪影響としてブランドイメージとエクイティが薄める可能性が指摘されている。 ブランド拡張はプラスの影響が出ているにもかかわらず、誤ったコミュニケーション戦略は、親ブランド、さらにはブランドファミリー全体にまで害を及ぼすことがある

 

「ブランド拡張」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年8月16日 (火) 10:36 UTC、URL: ブランド拡張 - Wikipedia

 

「既存ブランドの下で分野や用途、特徴などが異なる新製品を発売することをブランド拡張」は、どうでしょう。正しいですね。「流通側から見た場合にはさまざまなメリット」はやや、同一ブランドであることでの、流通のしやすさがあるのかもしれませんが、流通側に限定的になるというところが引っかかりります。

「メーカー側から見ると、ブランド拡張には当該新製品が失敗した場合に既存ブランドを毀損するリスクがある一方で、メリットは特にない」では、失敗したときのリスクはその通りだと思いますが、メーカー側にメリットが無いというのは、違います。新規ブランドを起こすりも、ブランドエクイティ を利用して、低コストでブランド化が可能です。よって、これは誤りです。

 

そして、他のブランド戦略についても確認しておきましょう。今回は、新製品に対して既存ブランドを使用するケースでした。以下のように戦略を分けることができます。

 

 

ブランド拡張:

新製品に対して、既存のブランドを使用する。すでにブランドエクイティを獲得している場合に、新たなブランド名を打ち出すコストや時間の節約になるメリットがありつつ、既存ブランドに傷をつける可能性がある。

 

ライン拡張:

既存製品の味のバリエーションを増やすなど、既存製品を同じブランド名でバリエーションを増やす戦略。

 

マルチブランド:

既存製品に対するバリエーションを増やし、それらに別のブランド名をつける。小売店の陳列などエリア確保することができ、かつ、複数のブランドを試したいような顧客の受け皿になり、同社のブランドでの囲い込みを行う。新しいブランドの定着させるためには時間とコストがかかる。ビールとかまさにこれ。

 

新ブランド:

新しい製品に対して、新しいブランド名を付ける戦略。名の知れた企業が新しいことを始めたという新鮮さを打ち出すことができ、注目を集めることができる。ブランドの定着化にコストや時間がかかる。

 

2.自社ブランドの競合ブランドからの差異化を目指す相対的側面と、消費者から見て自社ブランドに他にはないユニークな価値を持たせる絶対的側面とは、どちらもブランドのポジショニング戦略に含まれる。

これは正解です。が、読んでいて、矛盾することは無いなー。けど、自信もってこれが正解と言い切れない系かなとも思います。

ポジショニング戦略とは、市場において自社製品がどのような位置の製品か分析を行うことによって、今後どのように戦略を立てていくべきなのかと考えることです。その際は、一番は他社との比較、ここで言うところの絶対的側面の分析を行うことがもちろん重要でありますが、それだけではなく、自社ブランドも競合する場合に、お互いのブランドで顧客を食い合わないか、差別化を検討することが重要です。これらを含めたうえで、ポジショニング戦略を考える必要はあります。よって、これが正しいです。

 

3.製品カテゴリーなどを提示し、当該カテゴリー内で思いつくすべてのブランドを白紙に書き出してもらう調査により、ブランドの純粋想起について調べることができる。これに対して、ブランド名を列挙し、その中で知っているものをすべて選択し回答してもらう調査は精度が低いため、得られる結果の信頼性も低い。

まず、写真を見せたり、選択肢を与えてから、思いつくブランドを書き出してもらったり選択させるやり方を助成想起といい、対して問題文のように、何もヒントを当て得ずにブランド名を書き出してもらう手法を、純粋想起、または非助成想起といいます。

正しく実施されることを前提にして、信頼性という点ではどちらの精度が高いとか低いというものではないです。単に覚えやすい名前というだけで、ブランドとしてはやっぱりこっちってこともあり、写真や選択肢を与える助成想起も交えることにより、より正確なヒアリングができるものです。

よって、これは誤りです。

 

4.ブランドとは、消費者の記憶に明確に保持されている最終製品の名称を指す。製品の中に使用されている部品や素材などにも名称が付けられていることがあるが、これらはブランドではない。

最終製品の名称のみだと言ってしまうと、インテルCoreプロセッサーとか、キタアカリを使用したカレーライスとか、色んなところに素材や部品にもブランドがつけられています。このように素材のブランドを宣伝するりょうな戦略を成分ブランディングと呼びます。よって、これは誤りです。

 

5.ブランドは、ナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)に分けることができる。PB は大手小売業などの流通業者が開発し製造・販売するもので大手メーカーは関わらないため、PB の売り上げが増えるほど NB を展開する大手メーカーの売り上げは減少する。

最近プライベート・ブランドは増えてきましたよね。コンビニが独自に大手メーカーとタックして作っている製品です。 よって、関わらないわけがありません。PBばかりが売れて、NBが売れなくなってくると、まあ売り上げが減少するリスクはもしかするとあるのかもしれませんが、PB商品が売れても、その売り上げはメーカーに入るので、売り上げが必ず減少すると言い切るのは言い過ぎです。一緒にWikiも確認してみてください。

 

 プライベートブランド 

プライベートブランドとは、小売店卸売業者が企画し、独自のブランド商標)で販売する商品である。

具体的には、流通業者の主導権のもとで製造業者などと連携して開発し、生産される独自ブランドの商品を低価格で販売することであるナショナルブランド(NB)の対義語。

PBと略され、別名「ストアブランド」、日本語では「自主企画商品」と和訳される。

概要

商品の種類は、食品日用品衣類家電製品などさまざまであるが、日常的に消費される食品や日用品が多い

日本の最古のプライベートブランドは、大丸1959年に発売した紳士服ブランド「トロージャン」で、食品についてはダイエーが翌1960年に発売した缶詰「ダイエーみかん」である

1960年ごろから大手百貨店スーパーマーケット日本生活協同組合連合会がプライベートブランド商品作りに乗り出しているが、当時はナショナルブランド商品に比べて安いものの品質が劣り、経済情勢が悪いときにブームにはなったものの、一般的ではなかった。本格的な立ち上がりは1980年代半ばからで、もともと西友のプライベート商品として始まった「無印良品」の独立、価格破壊の象徴として、ダイエーによる「セービング」商品などが取り上げられるようになり、プライベート商品が一定の地位を得ることになった。

2006年ごろからの石油や原材料の高騰、サブプライムローンを発端とする経済危機によるナショナルブランド商品の価格上昇と、消費者の節約志向の高まりから人気を呼び、「日経トレンディ」の『2008年ヒット商品ベスト30』の1位に「PB(プライベートブランド)」が、日経MJの『2008年日経ヒット商品番付』の西の横綱にプライベートブランドの「セブンプレミアム(セブン-イレブン)」・「トップバリュイオングループ)」が選出された。2009年以降、大手流通グループでは売り上げに占めるPB商品の比率をより高める方針と報道されている。市場規模は約3兆円(2012年現在)と推定されている

 

メリット

  • 消費者側
    • ナショナルブランドとほぼ同品質の製品を、より安価に購入できる。
    • ナショナルブランドにはない高品質・付加価値のある製品を購入できる。
  • 販売側
    • 商品の仕様を容易に変更できるため、小売店・消費者の声を直接反映した商品を販売できる。
    • 宣伝・営業費用や卸売り業者は不要であるため、ナショナルブランド商品よりも粗利益率が5〜10ポイント程度高く、販売価格を自由に設定できる(≒「EDLP」)。
    • 原材料・製造方法・仕様を指定することで、商品にオリジナリティのある付加価値をつけることができ、企業・ブランドイメージの向上を計ることができる。
  • メーカー側
    • 一定量の販売が確約されることにより、閑散期でも工場稼働率を上げて効率よく生産できるため、コスト削減が可能となる。
    • 売上を安定させることでメーカーの経営が安定する。
    • ナショナルブランドの開発・売込みの土壌を作ることができる。

デメリット

  • 消費者側
    • ナショナルブランドと同じように見えても原材料や配合比率・加工方法・内容量を変えている場合があり、風味・食感に影響を及ぼしたり、品質が価格相応もしくは割高になる場合もある。
    • 販売店はプライベートブランド商品を優先して取り扱うためにナショナルブランド商品の取り扱いが削減され、商品の選択の幅が狭められる場合がある。
    • 当初からナショナルブランドより低価格の商品が多いため、特売商品となりにくい(賞味期限の近い食品などの割引を除く)。
  • 販売側
    • 全量買い取りであるため売れ残りが出ても返品できず、他社に転売することもできない。また追加生産のタイミングを誤ると長期間品切れになってしまうので、常に在庫リスクが発生する。
    • 食中毒や異物混入などの事故が発生した場合、製造者に代ってクレーム対応などの責任を負わなければならないまた生産終了後のアフターサービスも行わなければならない。
  • メーカー側
    • 並行して生産しているナショナルブランド商品の売り上げが減少することがある
    • 商品によっては粗利益率がナショナルブランドよりも10ポイント程度低くなることがある
    • 販売側の指摘する規格と誤差が生じた場合、商品の受け取り拒否をされることがある。特に食品の場合は転売はおろか中身の詰め替えもできず、大量の在庫を抱えたり、そのまま処分しなければならず、本来回収できるはずの費用が入ってこないため、資金繰りが苦しくなる。
    • 受託生産の依存度が高くなるとナショナルブランドの開発力・営業力が低下し、工場の稼働率が発注元の発注量に左右される。

「ブランド拡張」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年11月9日 (水) 11:26 UTC、URL: プライベートブランド - Wikipedia

 

 以上より、解答は2です。