令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第二十五問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

労働基準法における災害補償又は労働者災害補償保険法に関してです。いわゆる労災保険です。そこそこの頻度で出る話ですが、覚えることは大したことないので、問題を通じて引き出しを増やしていきましょう。

 

1.業務上負傷し労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付を受ける労働者に対しては、使用者は、休業の初日から労働基準法第 76 条の規定による休業補償を行う必要がない。

 まずせっかくなので、労働者災害補償保険法について調べてみます。

労働者災害補償保険法 

 労働者災害補償保険法(ろうどうしゃさいがいほしょうほけんほう、昭和22年4月7日法律第50号)は、労働者災害補償保険により、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、労働者の福祉の増進に寄与することを目的として制定された、日本法律である。略称で労災保険法とも。

「労働者災害補償保険法」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年8月17日 (水) 02:29 UTC、

URL: 労働者災害補償保険法 - Wikipedia

 

 昭和22年4月7日とは、戦後結構すぐにこんな法律ができたとは意外なもんです。

さて、その中の、休業補償給付ってのは、どういったものでしょうか?また、言葉的に労災で休んだ時の補償だろうなってのは、分かりますね。

 労災によって、ケガ、または病気などで、仕事を休まざるを得ない場合において、労災では、その人が早く復帰できるように補助すると共に、休業中の給付金も補償される。

 まず、労災で会社を休んだ場合、給付基礎日額の60%相当の金額が支給される。さらに、給付基礎日額の20%が「特別支給金」として支給される。つまりは、合計給付基礎日額の80%の収入が補償されることになる。

 しかし、この休業補償は、休業したらすぐに支払われるわけではないことが注意点となる。支払われるまでに「待期期間」というものが存在する。休業補償の待期期間は、休業初日から3日までになる。よって、4日目からは休業補償を受け取ることができるようになる。また、休業補償を受けるためには、申請が必要となる。

 休業補償を受け取ることができる期間には、上限自体は特にない。つまり、ケガや病気が治るまで休業補償は支給され続ける。なお、休業初日から3日目までの待機期間中は何も無いかというとそうでは無く、労働基準法76条によると、会社が平均賃金の60%を支払わなければいけないことになっている。

 さて、問題文に戻りましょう。「休業の初日から労働基準法第 76 条の規定による休業補償を行う必要がない。」逆ですね。初日から3日目までの休業補償を会社側はしなければいけないのでした。誤りです。

 

2.労働基準法第 75 条第 2 項において厚生労働省令で定めることとされた業務上の疾病には、細菌、ウイルス等の病原体による疾病の一つとして、「患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患」がある。

こんなところ、ちゃんと見ている人いたのかなぁ。これが正解なんですが、うん?って感じですね。厚生労働省のホームページには、職業病リストが掲載されており、その中に、この文章はあります。

職業病リスト|厚生労働省

とはいえ、かなりマニアックな問題とは思います。読んでいて、矛盾はないなぁ。けど、判断が難しいので、とりあえず飛ばそうくらいで良いと思います。

 

3.労働者が、通勤の経路を逸脱している間に負傷した場合でも、当該逸脱が日用品の購入のために行う最小限度のものであれば、通勤災害として労働者災害補償保険法に基づく保険給付が行われる。

これは明確に覚えておくのが良いです。日常でも役立つ知識です。基本的に通勤経路から逸脱した場合は、労災の対象外になってしまいます。

ただし、日用品購入など最小限度のものであり、かつ、その後経路に戻った場合は、逸脱していた区間を除くことになるが、それ以外の経路内で災害に合った場合は、労災として認められる。

というわけで、たとえ日用品購入だろうと、逸脱した区間については、対象外となりますので、誤りです。

4.労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付に関する障害等級は、重い方から第 1 級から第 14 級まで定められており、障害等級第 1 級から第 7 級までに該当する場合には障害補償一時金が支給され、障害等級第 8 級から第 14 級に該当する場合には障害補償年金が支給される。

障害補償給付に関する障害等級についてです。前半についてはその通りです。1級から14級まであり、1級が重い障害になります。一度、厚生労働省が定める障害等級表をざっと見ておくことをお勧めします。

障害等級表|厚生労働省

 

さて、問題となる、障害補償一時金と障害補償年金ですが、何となく年金の方が、手厚い感はありますよね。障害補償一時金は、障害等級に応じて定められた日数に給付基礎日額を乗じた額が一時金として支給される制度です。対して、障害補償年金は、障害等級の程度が1級から7級までに該当する障害が残った場合、「障害補償年金」として毎年、年金として支給される制度です。

というわけで、支給制度が逆になっており、誤りです。

以上より、正解は2です。