令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第二十四問 解答と解説

解答

 

1.

 

解説

 

労働基準法に続いて、就業規則です。こちらも労働基準法と同様に問題を通して拡大しながら解説をしていきます。とはいえ、まずはWikiで基礎知識をつけておきましょう。軽く、重要点をピックアップしておきます。

 

直接原価計算 
企業において使用者労働基準法等に基づき、当該企業における労働条件等に関する具体的細目について定めた規則集のことをいう。労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならず(労働基準法第2条)、就業規則は労働基準法第9章や労働契約法等の法令によってその作成手続、実体、効力等を規制される。
 
■法的規制
 
第89条(作成及び届出の義務)
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする(以下略)。
第90条(作成の手続)
  1. 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
  2. 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

■労働者の代表の意見

就業規則は、使用者と労働者の約束事であり、一般労働者の意見を反映することが重要である。当該事業所の労働者の過半数で組織された労働組合があればその労働組合、ない場合は過半数労働者から選任された代表者が使用者に対して就業規則に対する意見を述べる。意見書は、労働者を代表する者の署名又は記名押印のあるものでなければならない(労働基準法施行規則第49条2項)。

 

常時10人以上の労働者
「常時10人以上」とは、事業場単位で、一時的に10人未満になることはあっても常態として10人以上の労働者を使用していることをいう。企業単位で10人に達していても、事業場ごとに見て10人に達しない事業場は作成届出の義務は生じないが作成したときはそれも就業規則として法の規制(第91条から93条)を受ける。派遣労働者については、派遣中の労働者とそれ以外の労働者(派遣会社の事務所で働く労働者などのこと)とを合わせて常時10人以上の労働者を使用する派遣元の使用者である(昭和61年6月6日基発333号)
 
絶対的必要記載事項

就業規則に必ず定めなければならない事項として第89条に列挙されたものは、以下のとおりである。一の就業規則にすべてを記載する必要はなく、別規則を定めて記載しても差し支えない。もっとも、これらの記載を欠いたとしても、効力発生について他の要件を具備する限り有効であるが、そのことをもって第89条違反を免れることはできない(昭和25年2月20日基収276号)。

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間休日休暇就業時転換に関する事項。
  2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項。
  3. 退職に関する事項(解雇事由を含む)。
相対的必要記載事項

その制度を置く場合は就業規則に必ず記載しなければならない事項として第89条に列挙されたものは、以下のとおりである。

  1. 退職手当について、適用される労働者の範囲、決定、計算及び支払の方法並びに支払の時期に関する事項。
  2. 臨時の賃金及び最低賃金額に関する事項。
  3. 食費、作業用品その他の労働者の負担に関する事項。
  4. 安全及び衛生に関する事項。
  5. 職業訓練に関する事項。
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項。
  7. 表彰・制裁の定めについてその種類・程度に関する事項。
  8. その他その事業場の全労働者に適用される定めに関する事項。

 

任意記載事項

第89条列挙の事項以外にも使用者は任意の事項を記載することができる。就業規則の目的や、事業場の根本精神、服務規律等を記載する事業場が多い。

 

制裁規定の制限

第91条 (制裁規定の制限)

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

周知義務

就業規則は、以下の方法によって労働者に周知させなければならない(第106条、規則第52条の2)。これら以外の方法で周知させたとしても第106条の義務を果たしたことにならない。また、要旨のみの周知では足りず、その全部を周知させる必要がある

  • 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける。
  • 書面を労働者に交付する。
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。

 

「就業規則」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年6月19日 (日) 23:14 UTC、URL: 就業規則 - Wikipedia

 

1.就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、 1 回の額が平均賃金の 1 日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の 10 分の 1 を超えてはならない。
Wikiからピックアップした通りの説明ですね。減給の1回あたりの額が、平均賃金の1日分の半額を超えてはいけない。月給が20万だった場合は、20/30で、6666円です。その半分なので、3333円までしか一回あたりの減給はできないということですね。
さらにとんでもなく、悪い従業員で、あれもダメ、これもダメな人だった場合、同時に減給が課される場合もあるでしょう。その場合は、総額の10分の1までになります。つまり、月給20万だった場合は、10分の1なので、2万円まで減給できるということです。
これが正解です。
 
2.常時 10 人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則に記載する事項について、退職手当の定めをしない場合には、解雇の事由を含めて、退職に関する事項を記載する必要はない。 

さて、まず就業規則の記載については、常時10人以上という前置きも覚えておきましょう。常時10人以上いる環境の場合には、就業規則を作成する必要があります。

退職に関しては、問題になりやすいですので、注意しましょう。絶対的必要、つまりは絶対必要ってことです。ここには、退職に関する事項(解雇事由を含む)は必ず記載が必要とあります。退職手当に関係なく、これは起債されている必要があります。

相対的とは、「その制度を制定する場合は、必ず書かなければいけない事項」です。つまり、退職手当を設定しないのであれば書く必要はありませんよってことです。


絶対的必要記載事項

  1. 退職に関する事項(解雇事由を含む)。
相対的必要記載事項
  1. 退職手当について、適用される労働者の範囲、決定、計算及び支払の方法並びに支払の時期に関する事項。

よって、これは誤りです。

 

3.常時 10 人以上の労働者を使用する使用者が就業規則を作成して届出をする際には、当該事業場に労働組合がない場合は、当該事業場の労働者の過半数を代表する者が当該就業規則の内容に同意した旨を記載した書面を添付しなければならない。 
Wikipediaには労働組合が無い場合のことについては次のようにかいている。
「ない場合は過半数労働者から選任された代表者が使用者に対して就業規則に対する意見を述べる。」
意見を述べるとあり、同意した旨を記載しなければいけないとは無く、実は同意が無くても、届け出をすることは可能だ。とはいえ、労働組合または過半数を代表する者の意見を聞かなければ、変更すらできないので、そこで反対意見が出た場合については、全く無視するということは無い。
選択肢としては、誤りである。 
4.使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し又は備え付けることによって周知しなければならない。就業規則を確認できるパソコン等を常時各作業場に設置して周知する場合には、別途、労働者に対して就業規則を書面にて交付しなければならない。     
 周知する手段については、Wikiの通り以下である。
  • 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける。
  • 書面を労働者に交付する。
  • 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。
 今回の問題の、パソコンで閲覧でけいるようにするのは、3つ目に値する。この3つのいずれかの方法で周知されていれば良いという意味なので、別途書面で交付する必要は無い。よって誤りである。
 
以上より解答は、1です。