令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第二十三問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

 

労働基準法にうちてです。これは、いわずもがなで超重要項目のひとつです。なんらかの形で、頻出します。

しかし、労働基準法を、一からここで説明すると、とんでもなく長くなるので、それは別の機会でやるとして、問題文中心に労働基準法を勉強していくことにします。ただ、基本的なことをWikiでまずは見てみます。

 

労働基準法 

労働基準労働条件に関する最低基準)等を定める日本法律である。

施行が間近に迫っていた日本国憲法第27条の趣旨及び当時の労働情勢を鑑みて、第92回帝国議会に法案提出。議会での協賛を経て1947年昭和22年)3月28日裁可、同年4月7日公布、一部の規定を除き同年9月1日施行。先に制定された労働組合法労働関係調整法と合わせて労働三法と呼ばれる。

「労働基準法」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2022年11月18日 (金) 03:39 UTC、URL: 労働基準法 - Wikipedia

 

労働基準法は、1947年に公布された労働基準を定めた法律です。労働組合法、労働関係調整法と併せて、労働三法と呼ばれることもありますね。

さすがにWikipediaもすごいボリュームです。労働基準法くらいは、Wikipediaに掲載されている基礎知識くらいは、表面上は覚えておきたいところです。

ただ、出てくる問題の傾向は絞ることができます。一番は、今回の問題のような期間問題です。何らかの有効期限とか期間に関する正誤問題が代表的な問題です。

では、さっそく問題を見ていきましょう。

 

1.使用者により明示された労働条件が事実と相違する場合に、労働者が労働契約を解除するためには、労働契約を解除する日の 30 日前までにその予告をしなければならないと規定されている。

超頻出の代表格で、労働契約の解除です。つまり、会社を辞めるにはいつまでに言えばよいのかという話です。そもそもで、労働条件が事実と相違しているのに、あと30日間さらに働かなければいけないなんてあるはずないですね。明らかに誤りですが、もう少し詳しく解説します。

まず、使用者は賃金や労働時間など含めた、労働条件を労働者に明示する必要があります。これを伏せたまま、労働契約を結ぶことは決してできません。そして、その条件を必ず守る必要があります。これらは、労働基準法(15法)によって定められています。これが守られない場合、従業員は即時に労働契約を解除することができます。これも労働基準法に定められています。

一方で労働契約とは、労働契約法に基づいた会社と従業員との間の契約になりますが、あくまで民事上の契約になり、すべてのことについては、労働基準法が優先されます。

じゃあ、今回のように使用者が悪徳でない場合は、どうなんでしょう?実は、いつまでに会社を辞めることを言わなければいけない、なんていう期間は労働基準法には記載されていません。その上位の法律である民法に記載があり、2週間前となっています。そうです、実は2週間前に退職届を出せば、法律上はやめてOKなんです。まあ引継ぎなんかを考えると、1~2か月前から伝えておくのが、良いでしょうけどね。これはどんなに就業規則とかで、1か月前までに言うこと!とか言ったとしても、民法の方が圧倒的に強いので、2週間が優先されます。

ここまでいろいろ優先度みたいなことを言いましたが、整理しておきましょう。以下のように優先度が決まっています。

法令 | 労働協約 | 就業規則 | 労働契約

      強い ← → 弱い

以外と、労働契約が弱いことに驚きです。就業規則というのは、会社が定めている労働条件です。労働協約とは、組合と企業の間で結ばれている約束事です。そして、法令が労働基準法をはじめとする法律です。

さて、ついでに会社が明示する必要のある労働条件を見ておきましょう。

  ●以下は書面で明示が必要なもの

  1. 労働契約の期間
  2. 有期労働契約を更新する場合の基準
  3. 就業の場所・従事すべき業務
  4. 始業・終業の時刻、所定の労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、および労働者を2組以上に分けて就業させる場合における終業時転換に関する事項
  5. 賃金の決定、計算、支払いの方法、および賃金の締め切り、支払いの時期
  6. 退職に関する事項
    ●以下は、口頭で良いもの。
  7. 昇給に関する事項
  8. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払の時期に関する事項
  9. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
  10. 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
  11. 安全・衛生に関する事項
  12. 職業訓練に関する事項
  13. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  14. 表彰、制裁に関する事項
  15. 休職に関する事項

なんだかんだと、やっぱり労働基準法は覚えることが多いですね。 

 

2.使用者は、労働時間が 6 時間を超える場合においては少なくとも 45 分、 8 時間を超える場合においては少なくとも 1 時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないと規定されている。

休憩時間問題です。非常に頻発します。

 労働時間6~8時間 : 少なくとも45分

 労働時間8時間越え : 少なくとも1時間

これを覚えておけば、とりあえずは大丈夫です。あと、労働が全て終わってから、休憩時間というのは駄目だという決まりがあります。労働時間の途中に与えなければいけません。というわけで、これは正しいです。

 

3.使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならず、選挙権の行使は国民の重要な権利であるから、その時間の給与は支払わなければならないと規定されている。

まず、「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならず」までは合っています。必ず、使用者は認めてあげる必要があります。ただし、「いつ」選挙へ行くのかというのは、 業務によりある程度、使用者が変更を求めることができます。そして、無給か有給かについても、使用者側に委ねられており、法律では定められていません。よって、「給与は支払わなければならない」というのは誤りです。

 

4.労働基準法で定める労働条件の基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、当該基準に達しない部分のみならず、労働契約全体が無効となると規定されている。

 これは誤りです。無効になるのは、労働基準に達しない部分のみで、達している部分に関しては有効となります。よって誤りです。

 

以上より、2が正解になります。