令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第二十一問 解答と解説

解答

 

1.

 

解説

 

仕事へのモチベーションについてです。この問題は、この知識が必要というよりは、ここまでの知識を土台にして、思考により解答に導く問題です。もちろん時事問題的な要素もあるので、ある程度の流行の知識は必要になってきます。

問題文を通して、考えていきましょう。

 

1.顧客と直接的な関係性を築けるように従業員の職務を設計することは、従業員が自らの職務の実績を自律的に評価できる機会につながるため、仕事へのモチベーションを高めるのに有効である。

たくさんのモチベーションに関することの要素が含まれています。これらは、リーダーシップ、マネジメントなど、部下のモチベーションマネジメントとして、欠かせない知識でありますので、ぜひ、概念レベルで理解していきたい項目です。

「顧客と直接的な関係性を築ける」ことは部下へのモチベーションを高めます。自身の業務の結果、すなわち顧客の反応やその応対の結果が直接確認できるということは、まさに自律的に自己評価することに繋がります。これは仕事へのモチベーションを高めることに繋がります。

また、職務を設計、つまりマネージャが従業員の目標設定をして、その進め方を設計していくことは、モチベーション維持に効果的です。よって、1は正しいです。

 

2.職務拡大とは、仕事の流れに従って従業員が担当するタスクの数を量的に増やすことではなく、より大きな責任と権限を従業員に与えることで、仕事へのモチベーションを高めることを指す。

ここで職務拡大と職務充実について覚えておきましょう。

職務拡大

今担当している仕事に加えて、新たな職務を担当させることです。ひとつだけのことを職務にすると、マンネリ化してしまい、モチベーションの低下にもつながります。複数の職務を担当させることにより、マンネリ化を防ぎ、かつ様々な知識を広げていくことができます。また、多くのことを任せられることによる、モチベーションの向上も期待できます。

 

職務充実

今担当している仕事のよりレベルが高い分野を担当させます。単に言われたコードのプログラムだけしていたのが、設計を任せられるとか、プロジェクトマネジメントを任せられるとかですね。つまり、同じ職務について、より責任ある役割を与えられることです。

 

さて、問題文に戻ると、その文章は職務拡大のことではなく、職務充実のことだというのが分かりますね。誤りです。

 

3.ジョブシェアリングでは、個人的な事情に応じて従業員が勤務時間を自由に設定できる権利を保証するため、フルタイムでの勤務が困難な子育て中の従業員の雇用機会を広げることができる。

ジョブシェアリングは、あんまり日本では本格的に導入している企業を聞かないですが、海外では割と導入されている国も多いようです。

1人当たりのフルタイムの勤務、業務を、2人以上の人間でシェアして、お互いにその責務を負う勤務形態です。普段は半分半分で業務を分けて、1人が休んだ時は、他の人が責務を負うわけです。

問題文読んで、とりあえず、書いていることが違うことは分かりますね。これはフレックスタイムについての説明ですね。

 

4.ジョブローテーションとは、職務の垂直的な拡大を通じた専門職人材の育成を目的として、より高度な技能と責任が求められる職務に従業員を配置転換することである。

ジョブローテーションとは、定期的に従業員の部署異動をさせて、各従業員が様々な業務について実践する機会を与える仕組みです。特に若手が、開発部署や営業部署など定期的に異動させたりするのが、それにあたりますね。人材の研修の一環として行われることが多いです。

問題文のような、専門職人材を育成させるような目的ではありません。誤りです。

 

5. フレックスタイム制の欠点とは、他部門との関わりが限定され自部門内で完結する職務に従事する従業員に適用することができない点である。

この文章自体が良く分からないのですが、フレックスタイムを表しているものではないでしょうね。自部門内で完結する職務に従事する従業員の方が適用しやすいはずです。

他部門との関わりが強い場合、時間調整など部門間で行う必要が出てきて、コアタイムの設定などして対応するところも多いですね。よって、誤りです。

 

以上より、正解は1です。