令和4年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第十七問 解答と解説

解答

 

5.

 

解説

 

問題文を読んでいくと、

~政治的行動を「公式の役割の一部として求められるものではないが、組織における利益と不利益の分配に影響を及ぼす、もしくは影響を及ぼそうと試みる諸活動」と定義する~

もうなんか、宗教染みているというか、いきなり難しい言い回しをわざとやって、混乱させようとしているんじゃないのかって思ってしまうほど、本番だと頭に入って来ない問題です。しかし、公式の役割がどうのとかは置いておいて、組織に何らかの影響を及ぼそうとしている活動を、政治的行動って定義するよって言っているだけと、割り切ってしまった方が良い、いや、実際に働いている人は、政治的な活動ってよく使うと思います。たいてい裏工作的な根回しとか。とりあえず、まさにそれくらいに考えれば良いのかなと思います。少なくとも、正当な手続きではない行動であるという印象を持って、問題文に進むのが良いでしょう。この辺の問題は、リーダー理論であったり、組織論などをしっかりと読み込んで、深く考えることができるものだと思いますが、落ち着いて問題文に取り組めば、ある程度絞ることが可能です。また、不適切なものを選ぶというのに注意です。

1.経営幹部層が自己利益を追求して政治的駆け引きを行うことは、そうした行動が組織内で許容されることを従業員に暗示することで、政治的行動を助長する組織風土を醸成しやすい。

これは、この通りです。政治的行動に限らず、リーダーが望ましくない行動を、組織内で見せることは、組織内メンバーにそれらの行動を許容されることを暗示してしまいます。よって、これはその通りです。

 

2.経営資源の配分パターンの再編を伴う組織変革において、既得権益を失う恐れのある従業員は、自己防衛のための政治的行動に動機づけられる傾向がある。

まあ、その通りですね。組織再編時に、何らかの不利益をかぶる可能性が分かったら、何らかの形で防衛策を取りますよね。これも政治的駆け引きと言えるでしょう。その通りです。

 

3.従業員に公式に与えられた役割が曖昧であり、従業員の行動についての規定が明確でない場合、従業員が政治的行動に従事できる余地は大きくなる。

これもよくある話です。役割が曖昧で、そしてたいていそのような場合には、監視体制も適当なところが多く、従業員が良からぬ裏取引を他部署と行ったり、そうした余地が大きくなる傾向があります。だからといってガチガチにやることが決まっているのも、息が詰まりますがね。これはその通りです。

 

4.従業員の昇進を巡る意思決定のプロセスでは、限られた昇進の機会を巡って、自らに有利な決定が下されるように影響力を及ぼそうとする政治的行動が従業員間で生じやすい。

これは一番典型的ではないでしょうか。なるべく、評価するマネージャに気に入られる行動を、しておくとか、いろいろありますよね。その通りです。

 

5.組織において報酬を従業員に分配する場合に、ゼロサムの分配基準を用いると、従業員間での勝ち負けが曖昧になるので、従業員は政治的行動に動機づけられやすくなる。

 さて、まだ誤りがないので、これが正解なわけですが、たいていの場合、このような概念的な問題は、選択肢の中に、明確に誤り・または正しい正解があることが多いです。まさにこれです。

ゼロサムの分配基準が分かっていれば、必ず判断可能な選択肢です。ゼロサムとは合計値がゼロになる分配基準です。つまり、だれかに +1すれば、誰かが-1になるわけです。言ってみれば白黒が明確につくわけですね。プラス・マイナスで結果が示されるため、誰が勝って、誰が負けたのか、明確に判断ができる分配基準です。よって、この選択肢は誤りです。

が、勝ち負けが曖昧になると政治的行動の動機となるというのは、正しいです。誰が勝っているのか分からない状況になったときには、政治的活動を行い、自分が勝ったように印象付けるような印象操作を試みる可能性がでてきます。

 

以上より、正解は5です。