令和 4 年度 第 1 次試験問題 企業経営理論 第十四問 解答と解説

解答

 

3.

 

解説

 

まず、C.I.バーナードの無関心圏(zone of indifference)とは一体何でしょうか?なんか無関心と言われると、仕事のやる気などが無い人のように聞こえてしまいますが、違います。

上司から業務命令が出たとして、職場でも、そのまま了解ですと素直にやってくれる人と、それって本当に僕の仕事ですかと、何かと理由をつけてやりたがらない人がいるはずです。無関心圏とは、そのまま疑うことなく、命令を聞き入れてくれる命令の範囲のことです。

この無関心圏は、人によりその広さは異なります。また、上司と部下の信頼関係によっても、異なってくるでしょう。この無関心圏が広くなっていけば、組織は円滑に運用できるよというのが、バーナードの提案です。

イメージが分かったところで、さっそく問題文に取り組んでいきましょう。この辺は、全部が全部がテキスト等に載っているわけではないので、問題にもよりますが、「明確な正解を見つけ出す」か、「表層的な理解ではなく、深い理解をする」しかありません。明らかに前者がおすすめですが。

 

1.個人にとって受容可能な命令が継続的に発せられると、次第に無関心圏の範囲が狭くなっていく傾向がある。

まあ、想像しやすいですかね。例えば定例をやることになって、進捗報告を求めました。最初はそんなのやる必要あるかなって言っていた人も、毎回やっていくごとに、慣れもあり、受け入れるようになっていった。まあ、毎回毎回文句を言うような人っているかもしれないけど、多くは無いですね。それよりは初回に、質問が出るものです。というわけで、誤りです。けど、こういうの本番で考えると、分からなくなるもんです。

 

2.個人にとって無関心圏にある職務は無視され、遂行される可能性が低くなるので、無関心圏をいかに小さくするかが組織の存続にとって重要になる。

これはすでに無関心圏の意味が違っていますね。よって誤りです。 

 

3.個人の無関心圏に属する命令は、権威の有無を問われることなく受容される傾向がある。

無関心圏に属した命令は、無条件で疑問なく受け入れるものです。よってこれは合っています。 

 

4.無関心圏にある職務に対しては、個人のコミットメントは低くなるから、無関心圏の存在は組織の存続にとって負の影響を与える。

これも完全に無関心圏の意味が異なっていますね。誤りです。

 

5.無関心圏にある職務を個人に遂行してもらうためには、個人の貢献を大きく上回る誘因を提供する必要がある。

 唯一これは少し迷います。しかし、無関心圏に属した職務は無条件で遂行してもらえるはずなので、誘因の提供は不要です。よって誤りです。

ただ、誘因を提供することにより、無関心圏を広げる効果が期待できます。このへんで混同しやすくなりますね。

 

以上より、正解は3です。