令和 4 年度 第 1 次試験問題 財務・会計 第二十三問 解答と解説

解答

 

2.

 

解説

 

令和4年度の財務・会計の最後の問題です。配当政策に関する問題になりますね。

まず選択肢を見てみます。配当性向が重要な用語として出てきていますね。まずはここで、配当性向をしっかりとおさえておきましょう。配当性向とは、配当にまわすお金を、当期利益で割った割合になります。

と基本をおさえたところで、さっそく問題分を読んでいきましょう。

 

1. 1 株当たり配当金額を一定にする政策では、当期の利益額にかかわらず配当性向は変わらない。

配当金額を一定にする政策とは、安定配当政策といいいます。そのまんまですが。ちょっとくらい利益が下がったとしても、安定配当を優先して考えた場合、配当金額に回すお金の割合は増えるのが分かりますね。というわけで、配当性向は変わります。誤りです。

2.自己資本配当率(配当額÷期首自己資本)を一定にする政策では、当期の利益額にかかわらず 1 株当たり配当金額は変わらない。

自己資本配当率って、googleで検索しても全然出てこないのはなんでなのだろう。株主資本配当率はたくさん出てくるのですけどね。自己資本配当率は、配当額を、自己資本額で割った割合です。株主資本配当率と考え方はおそらく大きくは変わらない。

当期利益に影響しやすい配当性向をベースにした政策だと、いまいち安定感が無いので、自己資本・株主資本をベースにして、その配当率を一定にした考え方が、最近は採用されることが多くなっている。

いってみれば、株主の元手が、ちゃんと配当されているかという考え方で、利益がどうだったかということは関係がありません。よって、記載は正しいです。

3. 当期の利益額のうち投資に必要な支出分を留保し、残余を配当する政策では、当期の利益額にかかわらず配当性向は変わらない。

どういうことでしょう。当期利益のうち、投資に必要な支出分を留保して、残余を配当するのだから、配当金は変動します。本当に素直に言うと、ちょっと問題の趣旨が明確につかめていないところがあるのですが、おそらく、投資に必要な支出は利益によらず固定的であるという前提があるのではないかと思います。当然、配当金の割合は変動しますので、この選択肢は誤りになります。

4. 配当性向を一定にする政策では、当期の利益額にかかわらず自己資本配当率(配当額÷期首自己資本)は変わらない。

配当性向を一定にするとは、当期利益と配当金の割合を一定にするということです。というよりは、当期利益から配当金が定まると言ってもよいかもしれません。上でも述べたように、自己資本配当率は、当期利益に依存せずに、配当金ベースで算出するものでした。配当性向が一定にするということは、当期利益により配当金が変動していき、機種自己資本は変動しないので、自己資本配当率は変化していきます。よって誤りです。

 

以上より、解答は2です。